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玉堂

川合玉堂は自然を慈しみ日本のふるさと、と言える原風景を、気品ある筆致で描き続けた日本画壇の巨星です。
彼は、京都で幸野楳嶺に学び円山四条派の写実を、後に東京で橋本雅邦に師事して狩野派の品格ある線描を習得しました。この「京」と「江戸」の両方の伝統を融合させたことが、玉堂独自の画風の土台となっています。

玉堂の作品には、日本の湿潤な空気をそのまま紙に写し取ったような穏やかさがあります。。彼は生涯を通じて、都会の喧騒から離れ、奥多摩などの自然の中に身を置きました。その眼差しは常に温かく、牛を引く農夫や雪道を歩く村人の姿を、風景の一部として慈しむように描き出しました。

また、泉鏡花や幸田露伴といった作家たちの作品に口絵を寄せました。玉堂は小説の舞台となる「風土」や「季節感」を、一幅の山水画のような品格をもって描き出しました。