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小信(貞信二代)

貞信二代は、江戸から明治へと移り変わる激動の大阪において、伝統的な「上方絵」の魂を絶やすことなく近代へと繋いだ絵師です。彼の画業の真骨頂は、師であり父である初代から受け継いだ名所絵の伝統を背景に、刻一刻と変貌を遂げる大阪の街並みを鮮烈に描き出した「風景画」と、上方の誇りである「役者絵」の継承にあります。
彼は、江戸の広重三代が「東京」の文明開化を華々しく描き出したのと呼応するように、蒸気船が往来し、ガス灯が灯り、洋風建築が建ち並んでいく「水都・大阪」の活気を錦絵に刻みました。その筆致は、初代譲りの繊細な遠近法を土台にしながらも、明治期特有の鮮やかな色彩を大胆に取り入れることで、新しい時代への高揚感を見事に表現しています。また、上方絵の伝統である、役者の個性を鋭く捉える写実的な役者絵においても、彼は単なる様式の踏襲にとどまらず、舞台上の照明効果や現代的な表情の機微を画面に反映させ、浮世絵という枠組みを維持しながらも、近代的なポートレートに近いリアリティを獲得しました。
小信(貞信二代)